
地球にいる微生物が、宇宙空間で数年間生きられることがわかり、以前は一笑に付されていた「地球の生命の起源は宇宙」に再び注目が集まっている。われわれは宇宙からやって来たのか? この壮大な謎に迫る! 【写真】宇宙空間で紫外線を耐えた微生物 ■微生物は宇宙空間でも数年生きられる! 「地球に存在する生命は、宇宙からやって来たのかもしれない......」 そんな仮説を裏づける実験結果が、8月26日に日本の研究チームによって発表された。 この実験は国際宇宙ステーション(ISS)で実施されている「たんぽぽ計画」(生命の起源に関わることを調べる計画)のひとつで、「放射線耐性のある微生物(デイノコッカス・ラジオデュランス)を宇宙空間に3年間さらす」というものだった。 その結果、微生物は紫外線が当たる環境だと数年間、当たらない環境だと数十年ほど生存できることがわかったのだ。 この実験の詳細を、研究チームのリーダーである東京薬科大学の山岸明彦名誉教授に解説してもらった。 ――宇宙空間に微生物をさらす実験は、なんのためにやったのですか? 山岸 「パンスペルミア説」の検証のために行ないました。パンは「広く行き渡る」という意味、スペルミアは「種」「胞子」という意味です。「宇宙空間には広く微生物の胞子が漂っているのではないか」、そして「惑星間を微生物の胞子が移動できるのではないか」というのがパンスペルミア説の考え方です。 ――普通、生物がそのまま宇宙空間に出ると、宇宙線や放射線ですぐ死ぬと思われていますよね? 山岸 宇宙線や放射線ではなくて、紫外線ですね。
――紫外線なんですか。 山岸 はい。宇宙線は国際宇宙ステーションの中も通っていますからね。放射線もあまり当たらないほうがいいんですが、宇宙空間にはそれほど多くは飛んでいません。それに比べて紫外線は飛んでくる量が圧倒的に多いんです。もし、宇宙飛行士が素手を宇宙空間に出したら、すぐにやけどするでしょうね。 ――じゃあ、なんで微生物は大丈夫なんですか? 山岸 それは1匹で漂っていれば瞬殺されますよ。ところが1㎜くらいの大きさの塊になると大丈夫なんです。表面の微生物は死滅しますが、下層の微生物は表面の微生物に守られて生きられるんです。 ――へー。 山岸 それで「1年でこれくらい死んでいく」「2年でこれくらい死んでいく」という割合から計算すると、紫外線の当たる環境だと2年から8年は生きられる。紫外線に当たらない環境だと40年以上生きられることがわかりました。 ――微生物が何年間も宇宙空間で生きられるのはすごいと思いますが、その年月で生きたまま、例えば地球から火星まで移動することはできるんですか? 山岸 できます。まず、地球から火星に行くには地球から飛び出さなければいけませんよね。地球から飛び出るときに必要なスピードは秒速10キロ以上。ピストルの弾が秒速400メートルくらいだから、その25倍ですね。 ――かなり速いですけど、どんなふうに飛び出るんですか? 山岸 まだよくわかっていませんが、例えば地球に隕石(いんせき)がぶつかると逆に地球からいろんなものが飛び出ていきます。また火山の爆発も多くはそれほど遠くまで飛んでいきませんが、すごく大きな爆発だと飛び出るかもしれない。 そして、僕らが考えているのはカミナリです。カミナリは通常、地上数㎞程度の所で起こりますが、同じような放電現象が地上80㎞あたりでも見つかっています。1㎜くらいの大きさの乾燥したバイオフィルム(微生物の集合体)が舞い上がり、そのとき、放電現象で加速され宇宙に出ていく可能性はある。
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November 28, 2020 at 04:22AM
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