<欧米共同開発の太陽探査機「ソーラー・オービター」は、これまで研究者を悩ませてきた太陽の様々な謎を解決できるか>
宇宙観測史上、最も太陽に接近して撮影した画像を、NASA(米航空宇宙局)とESA(欧州宇宙機関)が初めて公開した。
NASAとESAが共同開発した太陽探査機「ソーラー・オービター」から送られてきたこの画像では、これまで撮影されたことがなかった太陽の表面上で発生している「キャンプファイア」という現象も捉えられている。
この現象は、小規模な太陽フレアで、なぜ太陽の表面よりも外側の太陽フレアの方が高温なのか、という長年、解明できていない謎を解く手掛かりになるかもしれない。
太陽の表面上に細かいフレア「キャンプファイア」が発生しているのが見える SOLAR ORBITER ESA & NASA
「これまでで最も近い距離から撮影された画像で、太陽系中心部をめぐる我々の探索の最初の一歩となる」と、ESAの科学者ダニエル・ミュラーは本誌の取材に答えている。
「最終的には、太陽系の最も内側の惑星である水星よりも太陽に近づく。最大の驚きは、最初の画像のクオリティーの高さだ。さらにこのコロナ禍のなか、探査機に搭載した10の観測機器のすべてについて予定通りに初期テストと調整を終えることができたことも素晴らしい」
画像上部の矢印で示されているのがキャンプファイアの1つ SOLAR ORBITER ESA & NASA
2018年にNASAが打ち上げた宇宙探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」も「ソーラー・オービター」より太陽に接近しているが、太陽を直接、撮影する望遠鏡を搭載していなかった。
キャンプファイアの画像は、極端紫外線撮像(EUI)と呼ばれる観測機器で今年5月30日に撮影された。この時、ソーラー・オービターは地球と太陽の間のちょうど半分くらい、太陽から約7700万キロの位置にまで接近していた。
「個々のキャンプファイア自体にはまったく大きな意義はないが、太陽全体で考えると太陽コロナを加熱させる主な要因になるのではないか」と、EUI担当のフレデリク・オシェアは声明で語っている。
探査機に搭載された観測機器で捉えられた様々な太陽の表情 SOLAR ORBITER ESA & NASA
ミッションを通じて「ソーラー・オービター」は、太陽の未知の北極圏・南極圏の画像も送ってくる予定だ。ミュラーによると、それが太陽の磁場に関する貴重な考察を与えてくれるという。
また「ソーラー・オービター」は、太陽から放出される強力な放射線や太陽エネルギー粒子線が地球にどのような影響を及ぼしているか、そのしくみを解明するのに必要なデータを収集することになっている。これは地球の送電システムや通信網に障害が出る「宇宙嵐」の解明や予測に繋がるかもしれない。
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July 17, 2020 at 12:00PM
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宇宙観測史上、最も近くで撮影された「驚異の」太陽画像 - Newsweekjapan
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